| ９．１１の同時多発テロ以来
くすぶり続けてきたイラク大量破壊兵器問題に対する米英の武力行使は愈々秒読み段階を迎えた。
更に北朝鮮の核再開発問題も国連安保理の場に持ち込まれ
国際緊張が一気に高まっている。
悪の枢軸と言われても仕方ないいずれ劣らぬ無法者の独裁国家である。
こんな政権が２１世紀においてもこの地球上に存在すること自体、同じ人類として悲しく残念至極である。 |
（明治初期） |
（大正後期） |
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| しかし一方この対極にあって矢面に立つ世界のリーダー米国はどうなのか。
９．１１のテロを境にしてブッシュ政権の政治姿勢は極めて独断的・好戦的に変質し、世界平和のリーダーとしての資質を失っているのではないかと懸念される。
９．１１は建国以来初めて外部から本土を攻撃され、多数の犠牲者を出した空前の大事件であり、攻撃された場所も経済の心臓部であり国防の中枢部であっただけに一層その衝撃は大きく、国家の威信に賭けてもという反応は一面では納得できる。また即座に敢然とテロ撲滅に立ち上がった姿勢も、この時点では概ね世界の理解を得られるものであった。 |
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しかしアフガン攻撃によって多数の民間犠牲者を出した反省もないまま
今度は単独でもイラク攻撃を辞さない構えである。
今回の米国のスタンスは 明らかに攻撃方針先にありきである。
国際世論を敵に回してでも武力攻撃を開始するという。
非は明らかにイラクにある｡ しかし
戦争回避のための選択肢は他にないのだろうか｡
テロ撲滅のためにフセイン政権を潰すという口実のもとに、中東石油の権益を安定的に押さえておきたい野望も見え隠れする。
国際的納得も協調も十分得られないままここまで強引にイラク攻撃を強行しようとする大統領方針、しかも大多数の米国民が賛成している国家に大きな疑念と危惧を抱かざるを得ない。 |
（明治初期）
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またこれほど緊迫した世界情勢の中で
日本だけが最後まで白とも黒ともつかぬ態度で日和見主義に終始し、とどのつまり米国追従表明で武力行使の片棒を担ぐという結末にも大きな不満を感じる。
国際世論を見極め
国際世論に従う方針と言いながら、結局は国際世論・国内世論にも関係なく
米国追随を選択しただけである。
小泉総理にはやはり政治哲学がないと言わざるを得ない。 |
（江戸初期〜享保雛） |
（昭和１４年） |
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最近こんなことを考えつつ興味深く読んだ本が３冊ある。
１冊目は｢梅原猛の授業 仏教｣、２冊目は｢梅原猛の授業 道徳｣
（いずれも朝日新聞社刊）、３冊目は梅原猛氏と稲盛和夫氏との共著「新しい哲学を語る｣（PHP刊）である。
最初の２冊は平成１３年と１４年に梅原猛氏が京都の洛南高校付属中学の３年生を対象に各１２回に亘って行なった授業を纏めたもの。
この学校は昔
空海が作った綜藝種智院の流れを汲む学校で京都東寺の中にある。
中学生対象だから平易な言葉で解り易く書かれているが、内容はむしろ相当レベルの高い高邁な梅原史観が説かれており、大学の授業で使っても良いレベルだと言える。
３冊目は生まれ育ちも活躍分野も異なる二人が日本並びに世界の現状を憂い、２１世紀に人間はこうありたいという想いを胸襟を開いて語り合い、その想いが驚くほど共通している事を確認している。 |
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（昭和３０年代〜宸殿造り）
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現下の日本社会の風潮並びに世界の情勢を見るとき、何が問題なのか、何が間違っているのかを考える幾つかのヒントが
この３冊の本にあるのではないかと思う。
梅原氏の授業は構想段階（特に道徳編）として語られているので、まだまだ雲をつかむような面もあるが２１世紀の国家・人類が目指すべき方向は明確に示されており共鳴できる思想と評価したい。
これだけ内容の深い重みある思想・哲学を簡潔に要約するのは難しいが、敢えて一言で言い表すなら
「日本伝統の仏教を中心に
儒教、神道のみならずキリスト教、回教の知恵も取り入れた新しい道徳観すなわち自利利他の心を
個人、社会、国家、人類に及ぼしていかねばならない｣
ということである。 今回、これらの読書を通じて認識を新たにした諸点を私見を交えながら次に挙げてみる。
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・一部の肉食獣を除いて殆どの動物は同類を殺さないがサルの仲間には同類を殺す風習がある。
人間が同類を殺し戦争を好むのはサルの遺伝子を受け継いでいるからではないか（動物学者の話）。
動物は自分の生命を維持する欲望（自利）と
子供を残そうとする欲望（他利）のバランスがとれ、調和が自然に保たれている。
しかし人間の欲望ははるかに強く複雑なために、このバランスが自然には保たれない。
従って人間社会には確固たる道徳、その裏づけとなる宗教がなければ人間は自利の塊になってしまう。 |
（昭和４０年代）
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| ・明治の大日本帝国憲法には教育勅語がセットになり
修身教育（内容は問題）が行なわれた｡ しかし
戦後日本国憲法は出来たが、これを裏付ける道徳は何も出来ていない。
教育基本法はあるが道徳ではない。
この道徳教育の欠如がボディ・ブローのように効いてきているのが現在社会の姿である。 |
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